病気についての質問

私は花粉症です。いろいろな予防法が新聞や雑誌で取り上げられていますがたくさん情報がありすぎて、
どれがよいのかわかりません。先生のところではどのような方法を薦めておられますか?

日本では現在およそ1000万人の方が花粉症であるといわれており、
さらに今後も花粉症が増え続けていく可能性があるといわれています。
私は花粉症の方に対して症状がでる少し前からお薬を飲まれるほうがよいとお話をしています。
症状が出てからですとお薬を飲まれても効果が低いように思うからです。
毎年スギ花粉は近畿では2月15日ごろから、ヒノキ花粉は3月中旬から下旬に飛び始めるといわれています。
天候や気温などによりこの数字は左右されますので、もっと早く飛ぶ場合もあります。スギ花粉で症状がでる方の場合、
1月末~2月の早い時期からお薬を飲むことをおすすめします。
花粉症の薬を飲むと眠くなるのが困る、という方が多いのですが
最近は眠くなりにくいお薬もでてきていますので一度ご相談ください。

仕事でストレスを感じることが多くなり、胃も時々痛みます。職場の若い子が突然「十二指腸に穴があいた」とかで
緊急手術を受けたと聞き、私も心配になりました。ストレスが原因でそのようなことが起こるのでしょうか?

正常な胃は胃酸や消化酵素(ペプシン)にさらされながらも「胃潰瘍」にはなりません。
胃を防御するさまざまな仕組みがあるからです。
しかし「ストレス」「たばこ」「暴飲暴食」などの胃を攻撃する原因が多くなると、
防御の仕組みもくずれてくるため胃を守りきれなくなって「潰瘍」となり、さらにすすむと胃に穴があいてしまうのです。
胃を攻撃する原因が非常に強ければわずかな日にちで「潰瘍」はできてしまいます。
痛みを我慢せずに早めに受診して自分の体の現状を知ることが大切だと考えます。

お薬についての質問

どうしても薬を飲まないといけないのですか?

医師が患者さんに対して「薬を飲んだ方がいい」とか「飲むべきだ」と言う時には、必ず、
薬を飲まずに放っておいた場合のリスクと、薬を飲む事によって生じるリスクや損失を天秤にかけ、
薬を飲んだ方が絶対に良い場合に限って服用をお勧めしています。
服用を強く勧められた場合ほどリスクが高い状態だとご理解ください。
患者さんの中には、運動やダイエット、健康食品など、別の方法を使って「自分の力で治してみせる」と主張される方も
おられますが、それらの方法が、かえってリスクを増悪させる場合や、
効果がほとんど期待できない場合に限って服薬をお勧めしています。

病人になったような気持ちになるから飲みたくないのですが。

病人の一歩手前(あるいはもう病気)だと思ってください。実際に病気を発症してしまうと薬の種類や数も増えます。
それに何らかの症状を伴うことも多く、毎日がもっと鬱陶しくなってしまいます。
決して恐れる必要はないのですが、少しでもそういう状態にならないようにするために服薬が必要なのだと思ってください。
薬の服用も習慣ですから慣れてしまえば苦になりません。
特に最近の血圧やコレステロールの薬は1日1回の服用で済ませられる物がほとんどですから、
人前で薬を服用しなければならない状況もまずありません。
ただし糖尿病に関しては、毎食前に服薬が必要な薬もあり、会食時などは人前での服薬が必要になります。
「自分にむやみに食べ物を勧めないでくれ」とアピールできるチャンスだと考えるようにしてください。

飲みだしたらやめられないのですか?

高血圧の薬はまずやめられません。高血圧に対して処方される降圧薬は高血圧を治す薬ではなく、服薬を続けることによって血圧を下げているだけです。
血圧が良くなったからといって服薬をやめると、必ず高血圧の状態に戻ります。
しかもたちの悪い事に、服薬中断後、血圧が上がってから慌てて服薬を再開しても元通りの良い血圧に下がりきらないことがあり、これが、薬が増えていく原因になってしまいます。
コレステロールや糖尿病の薬は、場合によっては減量あるいは中止できる場合もあります。
しかし、いずれの場合も食生活を改善するためのかなりの努力が必要ですから、減量に際しては必ずおかかりの先生の指示に従うようにしてください。
自己判断で不用意に薬をやめると、新たな病気を引き起こす危険があると思ってください。

副作用は無いのですか?

残念ながら副作用の無い薬はありません。
処方された薬に関する注意書きや説明書を見ると、怖い副作用がいっぱい書いてありますが、
その発生頻度は極めて低く、風邪薬や解熱鎮痛薬などと比べると桁外れに安全な薬だと思って大丈夫です。
ただ、糖尿病の薬の中には、飲み方を間違えると強い副作用が出るものもありますから、
必ず先生の指示を守るようにしてください。

費用がかかるのが心配です。

薬を飲み始めると、定期的に診察や検査を受ける必要が生じますから、薬代以外にも費用が発生します。
しかし、病気を発症する前であれば、平均して月に約数千円程度の事が多く、
外食や携帯電話の利用料金などに比べると少ない方ではないでしょうか。
これを高いと考えるか安いと考えるかは価値観の問題ですが、ひとたび脳卒中や心筋梗塞などを起こして入院すると
百万円単位の出費となり、退院後も月々数千円の出費では済まなくなってしまいます。
必要に応じて早いうちから内服を始めることで、病気の発症を防ぐことができるのなら
安い出費だと思うのですがいかがでしょうか。

通院が面倒なのですが薬だけ送ってもらえませんか?

医療機関で処方する薬は、診察をしなければ出せないきまりになっていますから、
薬だけを送るなどということはできません。
処方した医師は、定期的に診察することで薬の効き目を確認し、副作用の有無をチェックします。
また診察のつど患者さんの状態を把握して、新たな問題が起こってきた時には処方の変更をするのです。
一般に、初めて薬を処方した場合には、効き具合や副作用の心配がありますから1~2週間後の再診を勧めますが、
薬が上手く合って効きが安定した後は、1~2か月に1回の診察でも可能となってきます。
診察の間隔は、合併症の有無や患者さんの社会的背景も考慮しますから、
まずはおかかりの先生にざっくばらんにご相談されるのが良いでしょう。

Hib髄膜炎についての質問

Hib髄膜炎(ヒブずいまくえん)って何?

Hibとは、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌のことです。
最初に発見されたときにインフルエンザ感染者から発見されたため、この“インフルエンザ菌”という名前がつきましたが、
皆さんの知っているインフルエンザウイルスとはまったく違います。
このHibという細菌が、ヒトからヒトへ飛沫感染し、鼻咽腔に保菌され、これが病原菌となり、
肺炎や喉頭蓋炎、敗血症などの重篤な全身性疾患を引き起こします。
なかでも髄膜(脳や脊髄を覆う膜)に感染するHib髄膜炎は最も頻度が高く、予後が悪い病気です。

Hib髄膜炎はいつかかるの?どのくらいの子どもたちがかかるの?

多くの場合は、生後3か月から5歳になるまでの子どもたちがかかります。
特に2歳未満のお子さんに最も多いので、要注意です。
毎年全国で約600人の乳幼児がHib髄膜炎にかかっていることが分かっています。

Hib髄膜炎にかかるとどうなるの?

Hib髄膜炎にかかると発熱、頭痛、嘔吐、不機嫌、けいれんなどのかぜのような症状がみられ、
そのうちの約5%は死亡、約25%は後遺症(聴覚障害、発達遅延、神経学的障害など)がみられます。

Hib髄膜炎の治療法は?

Hib髄膜炎は、初期症状がかぜ症状と区別がつきにくく、簡単な検査では診断がつきません。
また早期診断がついても、現在では耐性菌※が増えているため治療が難しくなっています。
このためワクチンの研究が開始され、1987年に米国で使用開始されたのがHibワクチンです。
世界保健機関(WHO) では、1998年にHibワクチンを乳幼児への定期接種ワクチンに推奨し、
現在までに世界120カ国以上で導入されており、それらの国ではHib髄膜炎は、すでに過去の病気となっています。
※耐性菌(たいせいきん):薬に対して抵抗力を持ってしまった菌のこと(抗菌薬が効きにくくなります)

Hibワクチンの安全性は?

Hibワクチンの主な副反応は、接種部位の赤みや腫れで、そのほか発熱が数%報告されています。
これらは通常一時的なもので、数日以内に消失します。
また、Hibワクチンは製造工程にウシ由来の成分が使用されていますが、海外で使用開始されてから、
ワクチンが原因でTSE(伝達性海綿状脳症)にかかったという報告は現在までありません。

Hibワクチンの接種はどうすればいいの?

かかりつけの小児科で接種を受けることが出来ます。
望ましい接種スケジュールは、生後2~7か月で開始し、4~8週間あけて3回、その1年度に追加接種1回の計4回です。
この時期は、百日せきジフテリア破傷風混合(DPT)ワクチンの接種時期でもあるので、同時接種が可能です。
また、すでに望ましい接種開始年齢を過ぎていても、5歳までは接種することが出来ます。
詳しい事は、かかりつけの医師にご相談ください。